同業者さん向けの記事です..... |
つまらないことばかり垂れ流しているこのブログ。
今日は更につまらないことを垂れさせて頂きます。
というのも最近、同業者の方からメールをよくいただくんですよ。
内容としては
「あの商品構成で商売になっているとは....」や、
「ウチでは無理な靴ばかりで運営なさっていて素晴らしい」
「当店も貴店のような構成にしようと思うがアドバイスは?」とか。
基本的に褒めてくださっているので有り難いのですが、
イチ靴屋として個人的にとてもとても寂しい。
事実、現状への嘆きも多い。
最近の風潮として、良い靴はアパレルが扱い、
街の靴屋はショボいのかスニーカーばかり..というのがありますね。
実際、僕が今の店を始めたののは、
それが悔しいからだったりするのです。
ただ、現実問題として、靴を含め帽子や眼鏡、鞄、
格好いいか悪いかを決める「決定権」はアパレル業界が握っています。
そりゃそうです。
ファッションというくくりで見れば、
誰だって格好よくなろうという理由があって、
セレクトショップを覘いてみたり、ファッション誌をチェックしてみたりします。
「服に合わせて」」服が決まって」から靴や鞄を選ぶ。
何か変か?と聞かれれば当たり前のことですよね。
順番を考えれば当然なのです。
女性はさらにこの傾向が強いかもしれません。
服屋さんには色々な個性があります。
パリッとした感じや、カジュアル嗜好の店。
ヒップホップなところもあれば、ブランドに強い店も。
自分の好みの店を見つけ、常連さんになってる方も多いと思います。
まずジャケットを選んでみました。
これに合うシャツはどんなだろう?
「これなんか如何ですか?」 「おっいいねぇ」
「有難うございました」
極々、自然な流れです。
この服気に入っちゃいました。
次の毎週、履いている靴とこの服が合ってないような気がしてきました。
よし、またあの店に行ってみよう。
「この間の気に入ったよ、これに合う靴って何かある?」
「このデザインなんか今人気ですよ」
「こういうのは履いたことないなぁ」
「いい感じじゃないですか、お似合いですよー」
「あれ?この鞄この間あったっけ?」
「これはついこの間入荷したんです、この靴と合わせると格好いいんですよ」」
「またまたー上手いなぁ(笑)
「有難うございました」
こちらも極々ナチュラルな流れですね。
ただ、僕ら専門店はこのサイクルからは笑っちゃうくらい完全に除外されているのです。
だから皆さんは、
もっと不特定多数のお客さんを掴もうとして品揃えの幅を広げたり、
店舗も拡大したり増やしたりしたんでしょう?
違いますか?
靴の利益が極少なのなんてウチだって同じです。
だからもっと沢山沢山売らなきゃいけなくなったんでしょう?
気が付いたら量販店になってた。「気が付いたら」なんですか?
気持ちは物凄くわかりますし、潰れたら元も子もありません。
従業員さんや家族のことも考えたら当然です。
それ自体は全くおかしなことじゃないです。
ここで僕がイラッとくるのは、上記のようなお客さんの悪口をいう人が凄く多いってこと。
やれ「あいつ等は服屋のいいなりだ」
だの「あの手の客は相手したって、どうせ馴染みの服屋でしか...」
だの「いや、新宿伊勢丹の靴売り場は別格だよ....」だの
だの「本格靴が商売になるのは大都会だけ....」だのだの。
いや、まぁ確かにこれは事実ですが(笑)
でもその事実でウダウダ言って何か変わりますか?
先代さんの時代では、
靴は靴屋、帽子は帽子屋、鞄は鞄屋、服は服屋、上手く共存できていたようです。
今もそれら専門店は生き残っていますが、
いざファッションというくくりになると、僕は昔のような共存共栄は難しいと思っています。
かくして「格好いい」のルールブックはアパレル業界の持ち物となり、
服に合わせる靴や鞄の「格好いい」の決定権は我々のモノではなくなりました。
それは確かに哀しいことです。
しかし「我々が手放した」とも言えませんか?
今、大手セレクトショップの店員君と靴の知識で勝負できますか?
アパレルの人達は「靴屋は何も知らない」としか思ってないんですよ?
ということは、お客さんだって思ってるんですよ?
元々ルールブックなんて無かったんです。
アパレル業界が苦心して作ったモノだとは思いませんか?
服屋ならこの靴が売れる、なんて思ってるなら、服屋をやってみればいい。
嘆いてばかりの人には出来っこないから。
そんなに簡単なはずがないから。
そして申し訳ないけど、僕から見ても街の靴屋は魅力的じゃない。
でも、ファッション誌に載ってる本格靴は高すぎて現実的じゃない。
僕がやろうとしてるのは現実的な靴。
頼りない街の靴屋と、浮世離れしてしまった金額のアパレル店との間。
ぶっちゃけて言ってしまえば、あんまり儲からないところ。
覚悟があるならやってみて欲しい。
そういう店が増えてくれれば、一緒に新しいルールブックを作れるかもしれない。